Excelシート上で使える、複数の関数を組み合わせた特殊な使い方を説明。
今回は RAND、ROUND を組み合わせることで、
小学生の計算練習に使用できる「百マス計算シート」を自動生成させる方法を紹介
【本記事の目標】
RAND、ROUNDを使って
「百マス計算シート」を自動生成させよう
今回組み合わせる関数は下記でも説明していますので、ご参考ください。
「百マス計算シート」とは
百マス計算シートというのは、下記図のように上端と左端に数値が記載されており、
空欄マスの上端の数字と左端の数値を使って、足し算・引き算・掛け算・割り算をする、
計算トレーニングのためのシートです。
主に小学生の計算練習に使うシートですが、
ExcelのRAND関数とROUND関数を使えば、様々なレベルの計算シートを無限に作ることができます。
それではこのシートの作り方を説明していきましょう。
百マス計算シート作り
基本のシート構成
まずは基本のシート部分を作ります。
シートの構成は、基本的には11マス×11マスのマス目を2つ書いてあればOKですが、
参考になるものがあった方が良いかと思いますので、下記に例を示しておきます。
このようなイメージでまずは11マス×11マスのマス目を2つ用意します。
片方は問題として実際に書いていくシートになり、
もう片方は答え合わせ用の答えが書かれたシートになります。
ここにRAND関数とROUND関数を使って計算式を入力していきますが、
実際に計算式を入力していく場所は下記のA、B、C、D、Eの5か所の部分だけです。
その他は下記のようにA、B、C、D、Eのいずれかをコピーします。
計算式を入力する5か所の中で、A、B、Dは問題のレベルや種類によって変更する必要があります。
これについては後ほどそれぞれのレベルごとの書き方で説明します。
そのほかのC、Eはレベルや種類に寄らず同じ計算式を入力します。
具体的にはそれぞれ下記計算式を入力します。
C: =C2
E: =TEXT(ROUND(RAND()*10000000,0),”0000000″)
Cは単純に問題シートの数値と同じ数値を表示させているだけです。
Eはこのシートを大量に印刷したときに、どの問題がどの答えなのかが分かるように、
シリアルナンバーを記載して整合性をチェックするためのものです。
ですので絶対に必須なものでもないです。
ただ、問題用紙と解答用紙を確認するためにも記載しておくのをオススメします。
レベル別の計算式の書き方
それではここから、計算レベル別に A、B、D のセルにどういった関数を入力するのかを記載していきます。
足し算、引き算、掛け算、割り算 それぞれについてレベル1~レベル5の計20種類を記載しています。
20種類いずれの関数にもRAND関数を含んでおりますので、任意のセルを操作するだけで表示されている値が変化するため、無限に問題用紙を作成することができます。
ただしここに記載している関数はあくまで例ですので、この例を参考に記入している数値等を変更しカスタマイズしていただければ、さらに無限に問題を作成することができます。
足し算
レベル1:繰り上がりのない足し算
1~5までの数値同士の足し算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*4)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*4)+1,0)
D:=P$2+$O3
レベル2:繰り上がりの可能性がある足し算
1~5までの数値と1~9までの数値同士の足し算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*9)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*4)+1,0)
D:=P$2+$O3
レベル3:ほぼ繰り上がりになる足し算
1~9までの数値同士の足し算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*9)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*9)+1,0)
D:=P$2+$O3
レベル4:2桁の計算(3桁にならない)
1~20までの数値同士の足し算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*19)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*19)+1,0)
D:=P$2+$O3
レベル5:3桁の可能性がある2桁の計算
1~99までの数値同士の足し算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*98)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*98)+1,0)
D:=P$2+$O3
引き算
レベル1:繰り下がりのない引き算
5~9の数値から1~4の数値を引く引き算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*5)+5,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*3)+1,0)
D:=P$2-$O3
レベル2:繰り下がりの可能性がある足し算
10~19の数値から1~9の数値を引く引き算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*9)+10,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*8)+1,0)
D:=P$2-$O3
レベル3:2桁同士で答えが1桁になる引き算
15~20の数値から10~14の数値を引く引き算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*5)+15,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*4)+10,0)
D:=P$2-$O3
レベル4:2桁同士で答えが2桁の場合がある引き算
50~90の数値から1~49の数値を引く引き算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*40)+50,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*48)+1,0)
D:=P$2-$O3
レベル5:マイナスの可能性がある2桁の引き算
1~99までの数値同士の引き算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*98)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*98)+1,0)
D:=P$2-$O3
掛け算
レベル1:5の段までの掛け算
1~5の数値かける1~9の数値の掛け算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*4)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*8)+1,0)
D:=P$2*$O3
レベル2:9の段までの掛け算
1~9の数値かける1~9の数値の掛け算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*8)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*8)+1,0)
D:=P$2*$O3
レベル3:2桁(20まで)と1桁の掛け算
10~20の数値かける1~9の数値の掛け算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*10)+10,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*8)+1,0)
D:=P$2*$O3
レベル4:2桁同士の掛け算(50まで同士)
1~50の数値かける1~50の数値の掛け算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*49)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*49)+1,0)
D:=P$2*$O3
レベル5:2桁同士の掛け算(99まで同士)
1~99までの数値同士の掛け算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*98)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*98)+1,0)
D:=P$2*$O3
割り算
レベル1:2桁を1桁(1~5まで)で割る割り算(商と余りで解答)
10~50の数値を1~5の数値で割る割り算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*39)+10,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*4)+1,0)
D:=ROUNDDOWN(P$2/$O3,0)&”,”&MOD(P$2,$O3)
レベル2:2桁を1桁(1~9まで)で割る割り算(商と余りで解答)
10~99の数値を1~9の数値で割る割り算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*88)+10,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*8)+1,0)
D:=ROUNDDOWN(P$2/$O3,0)&”,”&MOD(P$2,$O3)
レベル3:2桁を2桁で割る割り算(商と余りで解答)
50~99の数値を10~49の数値で割る割り算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*49)+50,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*39)+10,0)
D:=ROUNDDOWN(P$2/$O3,0)&”,”&MOD(P$2,$O3)
レベル4:2桁を1桁で割る割り算(小数点第二位までの値で解答)
10~99の数値を1~9の数値で割る割り算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*88)+10,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*8)+1,0)
D:=ROUND(P$2/$O3,2)
レベル5:2桁を2桁で割る割り算(小数点第三位までの値で解答)
1~99の数値を1~99の数値で割る割り算
A:=ROUNDDOWN((RAND()*98)+1,0)
B:=ROUNDDOWN((RAND()*98)+1,0)
D:=ROUND(P$2/$O3,3)
完成した百マス計算シートの一例
上記の計算式を入力していただいて、フォント等を調整いただければ、下記のような百マス計算シートが完成します。
(下記は足し算のレベル3で記載しています。)
これを印刷していただければ、百マス計算シートの問題用紙と解答用紙を簡単に、かついくらでも作ることができます。
是非とも実際に作ってみてください。
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